他府県の病院で受診状況等証明書が取得でき、自閉症スペクトラム障害で障害共済年金2級を受給できたケース
ご相談にいらした状況
この相談者は、幼い頃から生きづらさを感じ、人間関係においても悩みを抱えていましたが、精神科を受診することはありませんでした。
社会人となってからはミスが重なり、周囲からは傾聴力や共感力の欠如を非難され、自己評価が低下して、うつ状態となり精神科の受診に至りました。
診断の結果、自閉スペクトラム症と判明し今までの生きづらさの理由が分かりホッとしたのと同時に、将来について不安を感じ障害年金の受給を希望されてご相談にいらっしゃいました。。
社労士阪本による見解
障害年金では初診日(初めて受診した日)に加入していた年金の制度によって、もらえる障害年金の種類が決まります。
初診日に国民年金に加入されていた方は、障害基礎年金、初診日に厚生(共済)年金に加入されていた方は障害基礎年金+障害厚生(共済)年金を受給できます。
ここで注意が必要なのが、先天性の病気です。
先天性の病気である知的障害は、初めて医師の診断を受けた日に関わらず、20歳前障害として障害基礎年金の受給となります。
しかし、同じ先天性の病気である発達障害は、初めて医師の診断を受けた日に加入していた年金制度により受給できる障害年金の種類が決まります。
相談者のように幼少期から症状があっても病院を受診せず、20歳以降に初めて医師の診断を受けた場合はその日が初診日となり、その時に厚生年金に加入していれば障害基礎年金+障害厚生年金の対象となります。
ただし、発達障害と知的障害の両方を発症している場合の初診日は、出生日となり障害基礎年金の対象となることに注意が必要です。
受任から申請までに行ったこと
相談者は初診に共済年金に加入されていた為、年金事務所では扱ってもらえませんので、共済組合とのやり取りが必要となります。書類の取り寄せから、提出まで代行させていただきました。
また、初診が他府県であった為、受診状況等証明書を代理取得いたしました。
次に、精神の診断書は日常生活についての記載が重要になりますが、相談者は普段の診察で日常生活の困り事について医師に伝えられていないということでしたので、診断書を依頼する際に資料を作成し医師にお渡しいただきました。
通院歴が長くなると、診察時に「体調はいつもと変わりありません」としか伝えていないケースが見受けられます。
その様な方の場合は、実際は部屋は荒れ放題、食事は1日1食などと乱れた生活をしていても、診断書には反映されていない事があります。
その様な事態を避けるため、病状に沿った形で具体例を挙げて日常生活の困り事を医師に伝える資料を作成しました。
結果
相談者は初診日に加入していた年金制度が共済年金であったため、障害基礎年金2級と障害共済年金2級の両方を受給することが出来ました。
障害基礎年金と障害共済年金は年金証書が別であったり、初回振込月がずれる等、取り扱いが複雑になっています。
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